井上尚弥が「サワコの朝」に出演 ボクシングへの思いを語る

3階級制覇王者であり、日本国内のみならず今や世界のボクシングシーンを引っ張る存在となった「モンスター」井上尚弥が1月23日(土)『サワコの朝』(MBS/TBS系全国ネット・午前7時半~8時放送)に出演、これまでの歩みや自身のボクシングに対する考えを明かした。

試合中はピンチでも「楽しい」

2019年11月に行われたノニト・ドネア戦第9ラウンドで苦しい状況に陥ったシーンについて聞かれると、リングサイドにいる母親からのゲキが何度も耳に入ってきて持ちこたえられたことを明かした。そして「つらいというよりも楽しかった」「打って、打たれる展開が楽しくて仕方がない」と振り返り、司会の阿川佐和子を驚かせた。「殴り合った相手でも、試合が終わるとお互い抱き合ってありがとうの気持ちが出てくるのがボクシングの素晴らしさ」と語った。

父 真吾氏の背中を見てきたからこそ

父でありトレーナーでもある井上真吾氏からは、一度もボクシングを強制されたことはなく「いつでもやめていい」と言われていたという。小学5,6年生のときに息子の気持ちがボクシングに付いてきていないと感じた父にボクシングをやめることを勧められて、目標がなかった井上は一時心が揺れたこともあった。しかし、トレーニングに励む父の背中を見て、自分はもっと頑張らなくてはいけないと考えたという。言うだけの親には反発心が生まれるものだが、自分の父親は違った。いつも背中で教えてくれたし何を言われても納得できた、と話した。

他者にない驚異の強さの秘密とは

自身の強みを問われると、「いかに 相手の急所に的確にパンチを当てられるか」という点をあげた。自分よりパンチの強い選手は他にもいるが、半分の力でも的確な場所に当てればより大きなダメージを相手に与えることができると述べ、パンチを浴びる瞬間はどんなに痛くても目を閉じないことについては「トレーニングではなく本能」と白い歯をのぞかせた。

リングの上でボクシングを伝えたい

一般には暴力的なイメージで捉えられがちなボクシングについて、威嚇することではなく相手をリスペクトしながら戦うことでボクシングの素晴らしさを伝えたいと考えていると話した。リングの上でボクシングの魅力を伝えたいという思いは強く「リング外のパフォーマンスで注目を集めるのではなく、スポーツとしてリングの上で素晴らしい試合をして、見てくれた人に感動や明日からがんばろうと思ってもらえるようなボクシングを届けたい」と語った。

35才での引退という未来予想図

35才と決めている自身の引き際については、「プロとしてポテンシャルが落ちてまでファンに見せたいとは思っていない」とし、体力面のピークを迎える時点で小1から始めたボクシングを「やっていてよかった」と思える形でゴールを迎えたい、そう思えるのであればどんな形でも構わないと語った。

最後に今後対戦したい相手を問われると、WBOとWBCのバンタム級王者を挙げ、バンタム級統一に向けた気持ちを改めて表した。

今回番組において井上が発した自身のボクシング観は、並大抵の選手が軽々と言えることではない。圧倒的なパフォーマンスを通して、まさに「ボクシング」で世界中のファンを魅了してやまない井上尚弥だからこそ、その言葉に重みがあり、説得力が増すのであろう。

※本番組は無料動画配信サービス「Tver」にて1月30日(土)午前07:29まで無料配信中

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