四国初の全日本新人王が誕生 福永宇宙

21日に後楽園ホールで無観客で行われたボクシング第67回全日本新人王決勝。スーパーバンタム級では西軍代表の福永宇宙(23・黒潮)が東軍代表の矢斬佑季(29・花形)に5回判定で勝利し、四国のジムとして初の全日本新人王に輝いた。福永は今回の勝利により戦績を9勝無敗4KOとした。

高知の四万十町出身の福永は地元さんさんTVの取材に対し「とりあえず実感がわいてきて、一番はほっとしています。今週はゆっくりと休みたいです」と伝え、「知らない人が声をかけてくれたり、自分が思っている以上にすごい喜んでくれてビックリした」と現在の心境を語った。そして「ちょっとずつ地道に上がっていって、ゆくゆくは日本タイトルに挑戦できるくらいまでいきたい」と謙虚に語った。

黒潮ジムの小川会長は「よくやってくれたという一言ですね。(福永選手の)後輩もプロを目指して頑張っているので、今後は全日本新人王を目指して頑張ってもらいたい」と語った。

中学では野球、高校では柔道とスポーツに励んでいた一方で、素行が悪くトラブルも多かったという福永。中学時代に母親から言われた「あんたは悪いことばかりで話題になる。一度でいいから嬉しい報告で目立って欲しい」という言葉。自分には誇れるものが何もないと悩むなかで、記憶の片隅にはいつもその言葉があり、いつか挽回したいという思いを秘めていた。そして一念発起しボクシングに打ち込む決意をしたという。

普段は勝利しても家族とは照れくさくてあまり言葉を交わさないという福永だが、地元四万十町で行われたパブリックビューイングの模様を映した映像を見て飛び跳ねて喜ぶ母親の姿に、勝利の実感が湧き、嬉しくなったという。いつか挽回して喜ばせたいと思った母。その笑顔は、彼の心に深く刻まれたに違いない。

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