タイトルマッチ前に兄弟を誘拐されていた カネロの驚異的な精神力
パウンド・フォー・パウンドボクサーでWBC・WBAスーパー世界スーパーミドル級王者”カネロ”ことサウル・アルバレス(メキシコ)が衝撃の事実を語った。2018年12月にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行われたロッキー・フィールディングとのWBA世界スーパーミドル級タイトルマッチの数日前、兄弟の一人がメキシコで誘拐され、カネロ自身が兄弟を取り戻すために誘拐犯の仲介人と交渉を続けていたというのだ。
今週末に放映予定の米TV番組「IN DEPTH WITH GRAHAM BENSINGER」内でカネロはその衝撃的な出来事について仔細を語っている。
「俺は土曜日に試合があり、試合に向けた無数のインタビューの仕事も入っていたが、このことは誰も知らない。俺は従兄弟に誘拐犯からの電話に対して何を言うか指示を出し、相手の返答について報告を受け、それに対して再び指示をしていた」
カネロがメキシコの警察に通報せず自身で犯人サイドと交渉するに至ったのは、警察の一部が事件に絡んでいる可能性が否めなかったからであるようだ。兄弟は必ず帰ってくると信じて疑わなかったが、自分の全てと言っても良い存在である兄弟が誘拐されたことはカネロの人生において最も難しい局面であったと語っている。
結果的に兄弟はフィールディングとの試合の前に解放され、戻ってきた。カネロは誘拐犯との詳しい合意条件については明かしていない。このような過酷な状況の中、週末にタイトルマッチに挑み、カネロはフィールディングから4度のダウンを奪い3回KOで勝利を手にした。試合に至るまでの数日間を思えば、あまりに驚異的な精神力と称賛するほかはないだろう。
メキシカンとして史上初のメジャー4団体統一王者を目指すカネロ(54勝1敗2分36KO)。次戦は5月8日、テキサス州AT&Tスタジアムで大観衆を前に行われるWBO王者ビリー・ジョー・サンダース(英・30勝全勝14KO)との統一戦だ。これまで既に6万枚のチケットが売れていると報道されており、テキサス州史上最大のボクシングマッチになることが確実視されている。
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